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ここでは、矯正歯科治療(歯列矯正)に関する基礎知識や、矯正歯科治療を行うメリット・デメリットなどをまとめて解説しています。
矯正歯科治療は「不正咬合」を解消する治療の総称です。そして不正咬合とは、例えば歯がでこぼこになっていたり、歯の生える方向がいびつだったりと、歯並びやかみ合わせが悪くなっている状態の総称です。
不正咬合には歯の状態やあごの状態によって様々な種類があり、比較的簡単に歯列矯正を行えるケースから、外科手術を行わなければ改善できない重症例など、いくつものパターンが考えられます。
歯列矯正には、ブラケットという器具やワイヤーを歯に装着して歯を動かしていくものから、専用マウスピースを装着して行うものなど、複数の方法が存在します。
それぞれの種類によって治療期間や費用、メリット・デメリットが異なるため、自分にとってどのような方法が適しているのか充分に検討した上で、しっかり納得して選択しなければなりません。
歯列矯正には保険適用で行えるものもありますが、健康状態に問題がなく、見た目の印象を改善させるために歯列矯正を行う場合、全額自己負担の自由診療となります。
一般的に、歯列矯正は歯並びを美しく整えるという審美的なメリットがイメージされますが、他にも健康状態を改善させたり、発音・発語を改善させたりと、人によって理由や目的も異なります。
6~11歳程度の児童では、あごのサイズを広げることを目的として矯正歯科治療(第1期矯正)が行われることもあります。
なお、本格的に歯並びを整える矯正治療(第2期矯正)は、乳歯から永久歯へ生え替わった後に行われることが通常です。ただし、近年はインビザラインファーストなど、第1期矯正と第2期矯正を同時に進める矯正治療も存在します。
歯並びは人の第一印象を決めるとても大きな要素です。そのため、歯並びを美しく整えることは、他者とのコミュニケーションを行う上で大きなメリットになります。
かみ合わせが良くなると、食事できちんと食べ物を咀嚼できるため、消化・吸収の助けにもなります。
歯並びが整うことで歯みがきがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクを抑えることも可能です。また、近年の研究では、歯周病菌が心臓病などのリスクを上げるとも考えられており、全身ケアとしてのメリットも期待できます。
自由診療の歯列矯正では、費用が高額になりやすく、経済的に大きな負担となることもあるでしょう。
差し歯やインプラントと異なり、歯列矯正は少しずつ歯へ力をかけて動かしていく特性上、どうしても治療期間が長くなり、その間はずっと矯正装置を使わなければなりません。また、マウスピース矯正の場合、マウスピースの装着時間が減るほど治療期間が長くなることもデメリットです。
ブラケットやワイヤーを装着した場合、食べかすが残りやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが上昇します。矯正中に虫歯や歯周病になると、正しく矯正が行えなくなるため、オーラルケアは徹底しなければなりません。
矯正中に痛みを感じたり、矯正装置が舌や歯茎へ当たって口内炎ができたりすることもあります。矯正中の痛みは治療を断念する理由にもなるため、きちんとケアしていくことが必要です。
矯正が完了しても、そのままでは再び歯が元の状態へ戻ってしまう可能性があります。そのため、矯正終了後も後戻りを防止するための処置が必要です。
歯並びを悪いまま放置すると、虫歯や歯周病リスクだけでなく、骨格の歪みや胃腸への負担といった様々な健康被害のリスクが上昇します。
また、かみ合わせが悪いと首やあごの筋肉へ負担をかけたり、特定の歯にダメージが集中してさらに不正咬合が悪化したりすることもあるでしょう。
その他、見た目の悪さや滑舌の悪さがコンプレックスとなって、精神的な悪影響が増していくリスクも考えられます。
歯並びの悪さを整える歯列矯正は、子供が行うものというイメージを持っている人もいるようですが、基本的に歯の成長が完了している大人であれば、いつでも矯正歯科治療を開始できます。ただし、大人になれば虫歯や歯周病になっていたり、不規則な生活習慣でオーラルケアが不十分であったりと、矯正治療にとってのリスクが増加しているケースも少なくありません。大人の矯正歯科治療について、まずはしっかり把握しておきましょう。
大人になってから矯正治療を始めるよりも、子供のうちに矯正治療を始めたほうが、良好な結果を得られる可能性が高いとされています。その理由は、子供の場合、歯だけではなく顎の骨の矯正も同時に進めることができるから。矯正中は子供に負担を与えてしまうことになりますが、長い目で見れば、そのほうが子供のためになるかもしれません。ここでは、子供の矯正の種類やメリット・デメリット、治療期間、治療費の目安などについて詳しく解説します。
歯の表面に横並びの装置を付ける「表側矯正」のほかにも、装置が目立たない「裏側矯正」や「マウスピース矯正」、「ハーフリンガル」矯正など、歯の矯正法にはいくつかの種類があります。それぞれの矯正法の特徴をよく理解したうえで、ご自身にとっての最適な矯正法を選択していきましょう。