上下の歯を咬み合わせた時に、上下の歯の間にスペースができてしまっている状態を「開咬」と呼びます。ここでは、開咬の種類や特徴、原因、またインビザライン矯正との相性などについて、詳しくまとめました。
開咬は「オープンバイト」とも呼ばれ、上下の歯を咬み合わせているにもかかわらず、上下の歯と歯の間にスペースが生じて、文字通り歯が開いてしまっている状態です。
開咬には、奥歯が合わさった状態で前歯が開いてしまう「前歯部開咬」や、反対に前歯が合わさっているのに奥歯が開く「臼歯部開咬」など、複数の種類がありますが、ただ単に「開咬」といった場合は前歯部開咬を指すことが通常です。
開咬は数ある不正咬合の中でも珍しい症状ではなく、日本人では12~20歳のおよそ1割が開咬傾向にあるともされています。ただし、本人が開咬だと自覚していない例も多く、歯科検診などで初めて指摘される人も少なくありません。
また、開咬はインビザライン矯正で効果を得やすい不正咬合として知られており、軽度の開咬であればインビザラインで改善することが可能です。
ただし、開咬の原因によってはインビザライン矯正が難しいこともあり、まずはどうして開咬になっているのか、理由を正しく見極めることが必要です。
開咬では機能的な弊害が生じることも少なくありません。
前歯部開咬の場合、言葉を発する時に舌を使ったような発声をしてしまうことが多く、やや舌足らずな話し方になることが特徴です。また、開咬の程度がひどくなると、サ行・ザ行・タ行といった特定の音の発音が困難になってしまうこともあります。
上下の歯が重ならないため、食べ物をきちんと噛んだり、特に噛み切ったりすることができません。そのため、例えば麺類を食べる際は、舌を使って麺類を歯に押し当てて切るような食べ方が癖になります。
また、前歯部開咬では口を閉じようとしても歯がきちんと閉じないため、食べこぼしが増えることもあるでしょう。その他、「クチャクチャ」という咀嚼音が外に漏れやすくなることも問題です。
開咬の症状の1つとして、鼻から下の部分が長くなるといった症状もあります。加えて、口を閉じようとしても自然な状態では完全に唇が閉じにくくなり、努力して唇を閉じるせいであごの辺りにシワが生じてしまいます。
開咬は基本的に、顔面やあごの筋肉の発達具合や、幼い頃からの癖・生活習慣によって起こるとされていますが、中には生まれつき開咬傾向にある人もあり、正しい原因の究明が大切です。
長年の指しゃぶりや日常的な頬杖、舌で歯を押す癖は、開咬の原因であると考えられています。また、乳児期の過度なおしゃぶりの使用や日常的な口呼吸、舌を突き出すような話し方なども、開咬リスクを高めるので注意が必要です。
生まれつき舌が大きくなる病気の場合、合併症として開咬になる可能性が高まります。
開咬の遺伝的要因として、あごの骨や形の異常も考えられるでしょう。特に、下あごの後方、関節に近い部分が通常よりも短い場合、開咬になりやすいとされています。 癖や生活習慣などでなく、あごの骨が原因で開咬が生じている場合、外科的なアプローチによる治療が必要です。
開咬は、インビザラインによって矯正可能な不正咬合の代表例として知られており、軽度の開咬であれば基本的にインビザラインで治療することができます。
ただし、開咬が前歯に生じているのか、奥歯に生じているのかなどでも治療期間や難易度が異なるため、まずは自身の状態について歯科医に正しく診断してもらうことが重要です。
生まれつき舌やあごの骨に異常がある時は、インビザラインだけで治療することは難しいこともあり外科的アプローチが必要となる場合もあります。また、虫歯や歯周病の治療が済んでいない人は、インビザライン矯正をスタートするのは難しいと言えます。
開咬は日常的な習慣や癖によって引き起こされる不正咬合でもあります。つまり、インビザラインで矯正を行ったとしても、生活スタイルを根本的に改善しなければ、再び開咬になってしまうことが考えられます。
開咬は決して珍しくない不正咬合であり、日本人でもたくさんの人が開咬であるとされています。
一方、開咬はインビザラインによる矯正治療が適しており、軽度であれば基本的に改善することが可能です。
ただし、日常の癖や習慣を改善しなければ再発するリスクが高く、正しく矯正するためには患者自身の理解と協力が必要となります。そして、積極的に治療へ取り組んでもらうことが欠かせません。
医師吉田 聡美
※本サイトに記載されている、『インビザライン矯正』、『インビザライン治療』とは、日本矯正歯科学会が呼称するカスタムメイドマウスピース型矯正装置のことです。
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