上の前歯が前方に突き出している上顎前突症は、一般的には「出っ歯」とも呼ばれ、インビザラインで治療が可能とされる不正咬合の1種です。ここでは上顎前突症の特徴や問題点、インビザラインで治療する際のポイントなどについて解説します。
上顎前突症(出っ歯)は、基本的に上あごの前歯の先端部分、または全部が、前方へ突出している状態の総称です。
上顎前突症の原因としては大きく3パターンが考えられ、上あごの前歯だけが前へ突き出ている、上あごが下あごに比べて極端に成長している、下あごの成長が不十分、といった原因によって、その治療法や症状の程度も様々です。
一般的に考えられる上顎前突症・出っ歯によるデメリットとしては、まず見た目の問題が挙げられます。
上の前歯の突出が比較的軽度であれば、そこまで気にする必要はないかも知れません。しかし、症状の程度によっては、口を閉じていても前歯の先端が唇の間から見えてしまうことがあり、また横顔も口元が付き出している風に見えてしまうことがあります。
その他、笑った時に歯茎がむき出しになる「ガミースマイル」になってしまうことも珍しくありません。
唇が閉じにくくなるため、食事中に口からものをこぼしやすくなったり、さらに症状がひどくなれば下の前歯の先端が上あごに当たって、歯茎を傷つけやすくなったりといった弊害が生じることもあります。
上顎前突症・出っ歯は、遺伝的な理由や指しゃぶりといった癖などが原因として考えられているものの、実際は多くが原因不明です。 ただし、上顎前突症では大きく3パターンの症状があり、それぞれによって治療の難易度や症状の程度が変わります。
上あごの前歯だけが前方へ突き出ている場合、これは歯性の上顎前突症とされます。
下あごに対して、上あごが極端に成長しているせいで、結果的に上顎前突症となっていることもあるでしょう。
このような場合、原因は歯並びそのものでなく、骨にあるため、骨格性の上顎前突症となります。なお、骨格性の上顎前突症では顔の中央部分が飛び出て見えることが一般的です。
上あごに対して、下あごが充分に成長しておらず、相対的に上あごの方が前へと飛び出てしまっている上顎前突症も考えられます。 これもまた骨格性のものであり、歯の方向を整える歯列矯正だけでは治療が難しいケースも少なくありません。
基本的に、歯性の上顎前突症に対しては、インビザラインによる矯正治療は有効だと考えられています。また、骨格性のものであったとしても、症状が軽度であれば同様にインビザラインで矯正できることもあるでしょう。
しかし、極端に上あごや下あごの形状に問題がある場合、インビザラインだけで治療することは困難で、根本治療には外科的な手術などが必要です。 そのため、まずは上顎前突症の原因がどのようなもので、症状のレベルがどの程度なのか、事前にしっかりと確認しておくことが欠かせません。
インビザラインで治療可能とされている上顎前突症・出っ歯ですが、その原因には単に歯並びだけに問題がある場合と、上あごや下あごの骨格そのものに問題がある場合があり、条件によってインビザラインの治療効果も変動します。そのため、まずは歯やあごの状態をきちんと検査して、そもそもインビザラインによる治療が可能なのかどうか、歯科医の目でしっかりと判断してもらうことが重要です。
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